『一遍聖絵』と踊り念仏
時宗の宗祖である一遍上人の伝記絵巻として『一遍聖絵』があります。
その中で描かれている踊り念仏についてお話しします。
踊り念仏は信州佐久の伴野(ともの)で、なかば自然発生的に始まりました。
次いで佐久の大井太郎の屋敷。多くの人々が屋敷の濡れ縁を回って踊りながら念仏をとなえ、忘我の境地のあまり縁側の板敷を踏み抜いたあげく、引き上げていく一行の姿が描かれています。
やがて踊り屋、つまり舞台が設けられるようになりましたが、これは明らかに組み立て式です。
遊行の旅先で木材を借りたのでしょうか。
踊り跳ねる足で板を踏むどんどんという音が鉦(かね)の音とマッチして音響効果を高めたのでしょう。
このような踊り屋をしつらえない場合でも、土の上に板だけは敷いています。
一遍上人が当時の都である鎌倉へ入ろうとして追い払われた後、江の島の片瀬の浜の地蔵堂に行き、そこで踊り念仏を行ったのです。
それを見物するために多くの人々が雲集したと書かれています。
そこで一遍上人は集まった人々に念仏札を賦(くば)ったことでしょう。
この時の『一遍聖絵』に描かれている絵が「踊り屋」と呼ばれる舞台です。それと同時に観客と踊る僧尼がはっきりと分かれています。
このように『一遍聖絵』にも描かれている踊り念仏を真光寺でも
9月16日の宗祖御祥忌の時に一遍上人の御廟所(雨天時本堂)にて修行いたします。
当日は法話もございます。参拝自由でございますのでぜひお参りください。
宗祖御祥忌 9月16日(金)
13:00 法話 長澤昌幸先生(時宗宗学林学頭)
演題:『父母の恩』
14:00 御祥忌法要(本堂)・踊り念仏(御廟所)