除夜の鐘について
行く年を惜しみながらも、新しい年に希望を馳せるこの頃。
本年も大変お世話になり感謝申し上げます。
今回は、除夜の鐘についてお話をしたいと思います。
まず除夜とは、1年の最後の夜=大晦日(おおみそか)の夜のことで、一年を除くという意味があります。
先祖を祀り家族が一年間無事に過ごせたことに対して感謝し、夜を通して人々が過ぎゆく年を惜しみこの夜を過ごすと昔の本には記しています。
その夜に年をまたいで、寺院の梵鐘を撞(つ)くのが除夜の鐘です。
一般的に108回撞きます。
この108回という数字は、
眼(げん)耳(に)鼻(び)舌(ぜつ)身(しん)意(い)の六根に、好(こう:よい)悪(あく:悪い)平(へい:どうでもよい)の3つがあって18となり、
またそれぞれに浄(じょう:綺麗)染(せん:きたない)の2つで36になり
それが三世(前世・今世・来世)のそれぞれにあり全部で108となります。
それが人間の煩悩の数と言われています。
また一年を表す数字(月:12、二十四節:24、七十二候:72の合計で108)や四苦八苦(4×9+8×9=108)を取り払うという説もあるようです。
煩悩の数が108、多く感じる方も少なく感じる方人それぞれいらっしゃるでしょう。
元々、煩悩とは仏教の教義の一つでありサンスクリット語でクレーシャ(क्लेश, kleśa)といい、身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働き(汚れ)を意味します。
煩悩の根本には、三毒【貪欲(とんよく)貪り求める心、瞋恚(しんに)怒り・憎しみの心、愚癡(ぐち)真理に対する無知の心】があります。
煩悩=欲と思われがちですが、欲は人が生きていく上でのエネルギーとなるところもあるので、
その欲が煩悩(三毒)に囚われ、執着することや、怒りや憎しみ、無知であることで自分や他人を傷つけてしまうことが良くないことだと思うのです。
この一年、自分の欲が三毒に囚われていなかったかと自分自身と向き合い
除夜の鐘を聞くとより心が洗われ、清らかな心で新しい年を迎えられるのではないでしょうか。
真光寺でも、12月31日(土)除夜の鐘を撞きます。
夜11時半より整理券を配布致します。